一条工務店は多くの住宅メーカーの中でも、いち早く耐震性に関わる実大実験を開始したハウスメーカーです。東海地震の危険が叫ばれ始めた1978年に「地震に強い家づくり」を根幹に設立されました。
一条工務店では、国の定める「耐震等級3(最高等級)」を標準仕様でクリアしただけではなく、それを超える自社基準を設定して研究開発を行っています。その実証実験には東京大学を始めとした大学や研究機関も参加しており、正に産学協同で住宅の耐震性や耐久性の研究を続けています。
一条工務店では取り扱うあらゆる商品・構法・建物で実験しており、どの商品でも「地震に強い家」を提供していると考えて良さそうです。
一条工務店の主力商品「i-smart(アイスマート)」の断熱性能を現す数値は「UA値0.25」と非常に優秀で、これは住宅業界でもトップクラス。一条工務店が北海道や東北エリアで人気の理由はこの断熱性能の高さにあります。
「i-smart(アイスマート)」では「外内ダブル断熱構法」を採用しています。この高断熱構造は、外壁だけではなく天井から床まで、家全体を高性能断熱材で包み、魔法瓶のような効果を実現しています。具体的には構造体の外側に硬質ウレタンフォームを「140㎜」、更に内側からも「50㎜」施工。外と内併せて「190㎜」の分厚さで断熱材が施工されているので非常に高い水準の断熱性能に期待出来ます。
窓断熱においても「樹脂サッシ」に「トリプルガラス(クリプトンガス入り)」の高断熱仕様。ここまでしっかりと断熱仕様に注力しているハウスメーカーは数える程しか存在しません。一条工務店の断熱性能は住宅業界でもトップクラスと考えて良いでしょう。
一条工務店では、快適な空気を逃がさず花粉などの侵入を防ぐ「隙間のない家」への取り組みも行っています。
一条工務店では自社工場内で断熱材の組み込みや気密加工を行っていますので、現場施工では気密性を保つのが難しい複雑な形状でも、しっかりとした気密性を確保する事が可能です。
住まいの気密性は「C値」という数値で表す事が出来ますが、国の定めた次世代省エネルギー基準の約8倍もの気密性となる「C値0.59cm2/m2」を達成。この数値はかなりの高水準で、家の中は気密性が高過ぎて、気圧でドアが締まらないなどの口コミもある程です。
一条工務店はZEH住宅にも注力しています。
「高気密」「高断熱」の住まいだからこそ実現出来る「超省エネ住宅」と大容量太陽光発電で、使う電力よりも創る電力の方が大きくなるような「超ZEH住宅」を手掛けています。具体的には、通常のZEH住宅に比べて、年間の冷暖房費が約9万円もお得になる計算です。
尚、一条工務店では発電払いを採用しているので、初期支出0円で大容量の太陽光発電を搭載可能となる「夢発電システム」を採用しています。
一条工務店では構造耐力上主要な部分に関しては初期保証30年、雨水の侵入を防止する部分に関しては初期保証15年が用意されています。こちらは瑕疵担保責任保証にあたる内容ですが、箇所によって保証内容が異なるので注意が必要です。保証内容としては中々良い内容ではあるのですが、同価格帯の大手ハウスメーカーに比べると少々物足りなく感じるかもしれません。
尚、雨水の侵入を防止する部分に関しては15年目以降は5年毎の有償補修を行う事で最長30年目まで延長する事が出来ます。こちらは同価格帯の大手ハウスメーカーは60年の保証延長制度を掲げているところが多いので、総合力の高い一条工務店ですが、マイナス評価すべき項目になると思います。
一条工務店では、テレビCMなどの広告展開は行っていませんので、コスト削減に成功しており、高性能な家を適正価格で販売している印象を受けます。例えば、他社ではオプション価格となるような設備や内装・外壁などが「標準仕様」として採用されています。
これは一条工務店が「モデルルーム仕様がほぼ標準仕様」を掲げている為で、同レベルの性能や設備を有している大手ハウスメーカーと比較した場合、価格は相当安く感じる方も多いと思います。
商品によって価格差はありますが平均坪単価のボリュームゾーンは75万円~90万円辺りが多く、注文住宅の価格としては中間層以上向きの価格帯になりますが、少し背伸びをすれば届く価格設定なのも着工数を伸ばしている要因の一つからもしれません。
「全館床暖房」を「標準仕様」としているのは、恐らく一条工務店だけなのではないでしょうか。寒冷地にお住まいの方はこれだけで契約したくなってしまう程、魅力的な標準仕様だと思います。他にも全館換気システム「ロスガード90」など、豊富な標準装備が魅力的なハウスメーカーです。
また光触媒の特性を活かした外壁「ハイドロテクトタイル」をオプションで安価に採用する事が出来ます。外壁タイルといえば他社の場合、数百万円単位のオプション価格が当たり前ですが、一条工務店の場合は数十万円程度の価格で導入可能なのも大きな魅力です。
その反面、設計の自由度は低く、住宅業界の間では「一条ルール」と呼ばれる程、間取りに制約が多い事で有名です。これは高い気密性・断熱性・耐震性を保持する為の制約ですが、自由なデザインを実現したい方は注意が必要です。