みなさんは「ZEH(ゼッチ)」という言葉は聞いたことありますか?
おそらくこれから注文住宅でマイホームを建てようと検討している方ならば、一度は見聞きしたことがあるかと思いますが、ZEHの内容についてはあまり詳しくご存知ない方が多いと思います。
ZEH住宅にすることで、日々暮らしていく中で光熱費などのランニングコストを大幅に抑えることが可能です。また場合によっては売電収益により光熱費を浮かすどころかプラス収益を得ることも不可能ではありません。
ただしZEHは大きなメリットがある反面、初期費用の増加、売電価格の不安定さなどデメリットも存在しますので、これからマイホームを建てる方はZEHのメリット・デメリットの両面をしっかり理解しておくことをオススメします。
と、いうことで当ページではZEH(ゼッチ)について詳しくまとめていきます。ZEHとはなにか?ZEHの種類、補助金、メリット、デメリットについて知りたい方にオススメの記事となります。
ZEHについて出来るだけわかりやすく要点をまとめていきますので、是非ご一読ください。
Contents
ZEH(ゼッチ)とは
それでは、まず基本中の基本。「ZEH(ゼッチ)とはなにか?」という点から説明していきます。
ZEH(ゼッチ)とは「ネット・ゼロ・エネルギー・ハウス(NET ZERO ENERGY HOUSE)」の略称で、経済産業省では以下の通り定義しています。
ちょっとまどろっこしい言い回しですが、ザックリ言ってしまえばZEHとは「年間に使うエネルギーと創るエネルギーの収支がプラスマイナスゼロとなる住宅」のことです。
年間に使うエネルギーと創るエネルギーの収支をプラスマイナスゼロにするためには住宅の断熱性能・省エネ性能を向上させる必要があり、また太陽光発電システムなどエネルギーを創りだす設備を設置する必要があります。
つまり、ZEH住宅とは「断熱性能を向上させ、太陽光発電システムなどの創エネ設備を整えた住宅」のことを指します。
ZEH(ゼッチ)の基準
次はZEHの基準(要件)についてみていきましょう。
ZEHには以下の4つの基準(要件)があります。
②基準一次エネルギー消費量を20%以上削減すること
③再生可能エネルギー設備を導入すること
④①~③により基準一次エネルギー消費量を100%以上削減すること
これだけ挙げられてもちょっとわかりにくいので、一つ一つ噛み砕いて説明していきます。大丈夫です、理解してしまえばカンタンなことです。
①強化外皮基準
ZEH要件の一つめ。「強化外皮基準」とはわかりやすく言えば「断熱性能」のことです。
もっとわかりやすく言えば断熱性能を表す「UA値」のことと考えてください。ZEH住宅では、地域ごとに「断熱性能(UA値)」の基準が設けられています。
地域区分 | 1.2地域 | 3地域 | 4.5.6.7地域 |
---|---|---|---|
UA値 | 0.4以下 | 0.5以下 | 0.6以下 |
1地域…旭川など
2地域…札幌など
3地域…盛岡など
4地域…仙台など
5地域…新潟など
6地域…東京・名古屋・大阪など
7地域…宮崎など
それぞれの地域ごとに最低でも「このUA値をクリアしていないとZEH住宅として認めない」という基準があるということです。
ちなみに外皮とは、建物の断熱材や窓ガラス・窓サッシなどの箇所のこと。ZEHでは断熱性能を強化することが要件ですので、強化外皮基準という言葉を使っているわけです。わかりにくいですね。
②基準一次エネルギー消費量を20%以上削減すること
そしてZEHの基準(要件)2つめは「基準一次エネルギー消費量を20%以上削減すること」です。
これもわかりにくい表現ですが、カンタンに言えば「省エネ性能の高い設備を使ってエネルギー消費量を20%以上削減しなさいね」ということです。
住宅の断熱性能がアップすれば光熱費を抑えることができますが、それ以上に省エネ性能の高いエアコン、換気設備などを使うことでも消費エネルギーを削減することができます。省エネ性能の高い住宅設備を導入することで「20%のエネルギーを削減すること」がZEHの要件となります。
③再生可能エネルギー設備を導入すること
そしてZEHの基準(要件)3つめは「再生可能エネルギー設備」を導入することです。これがZEHのキモ。要は「家でエネルギーを創る」ということです。
具体的には太陽光発電システムがZEH住宅の創エネ設備のメインとなります。さらにエネファームや蓄電池をプラスするケースも多いです。
④基準一次エネルギー消費量を100%以上削減すること
そして、ここまでの3つの基準をクリアし、最終的な「消費エネルギー量の収支をプラスマイナスゼロとすること」がZEHの基準(要件)の4つめとなります。
例えば、年間で使う消費エネルギーを100とした場合、断熱性能アップと省エネ設備の導入で消費エネルギーを20減らし、太陽光発電システムなどの創エネ設備でエネルギーを80創り出せば、消費エネルギーと創エネルギーの収支はゼロになります。
ZEH住宅は厳密には、消費エネルギーよりも創エネルギーの方が大きくなるケースも多く、実際には売電収益により「プラス収支」となる家庭もたくさんあります。
ZEH(ゼッチ)の種類
次はZEHの種類についてみていきましょう。
ZEHには以下の通り、複数の種類があります。
ZEHの種類 | 特徴 |
---|---|
ZEH(ゼッチ) | スタンダードなZEH |
Nearly ZEH(ニアリーゼッチ) | 地域限定のZEH緩和版 |
ZEH Oriented(ゼッチオリエンテッド) | 地域限定のZEH緩和版 |
ZEH+(ゼッチプラス) | より上位のZEH |
Nearly ZEH+(ニアリーゼッチプラス) | より上位のNearly ZEH(ニアリーゼッチ) |
ZEH+R(ゼッチプラスアール) | より上位のZEH&防災設備 |
ではそれぞれのZEHの特徴を詳しく説明していきます。
- ZEH(ゼッチ)
前述でも説明したスタンダードなZEH住宅のことです。「省エネ設備による消費エネルギー削減率」と「創エネ設備と合算した消費エネルギー削減率」は以下の通りです。
省エネ設備による消費エネルギー削減率 :20%
創エネ設備と合算した消費エネルギー削減率:100%
- Nearly ZEH(ニアリーゼッチ)
Nearly ZEH(ニアリーゼッチ)とは、ZEHの基準を少し緩和した地域限定で認められる特殊なZEH基準です。
ZEHでは、太陽光発電システムによってエネルギーを創り出すことが要件の一つとなっていますが、寒冷地や低日射地域、多雪地域ではそもそも使うエネルギー量が多いことや、日射量が少なく太陽光発電システムを導入しても、創エネルギーが消費エネルギーを上回れない場合も多いのです。
このような地域差の不平等を解消するためにZEHの基準を少し緩和した、地域限定のZEHを「Nearly ZEH(ニアリーゼッチ)」として定められています。
ニアリーゼッチの「省エネ設備による消費エネルギー削減率」と「創エネ設備と合算した消費エネルギー削減率」は以下の通りです。
省エネ設備による消費エネルギー削減率 :20%
創エネ設備と合算した消費エネルギー削減率:75%
ニアリーゼッチでは、ZEHに比べて創エネ設備と合算した消費エネルギー削減率が25%緩和されています。
消費エネルギーと創エネルギーの収支がゼロにならなくてもZEHとして認められることがニアリーゼッチの特徴です。
- ZEH Oriented(ゼッチオリエンテッド)
ZEH Oriented(ゼッチオリエンテッド)は2018年にスタートした新制度で、ニアリーゼッチと同様に「地域限定でZEHの基準が緩和」されています。
ZEH Oriented(ゼッチオリエンテッド)は都市部などの狭小地で、二階建て以上の建物限定で認められるZEHです。
住宅が密集した都市部の場合、十分な日当たりを確保できないケースも多く太陽光発電には不利な条件となります。また狭小地では屋根の上に必要なだけの太陽光パネルを載せることが難しいケースもあります。
ゼッチオリエンテッドは、このようなZEHに不利な「都市部・狭小部」の住宅に対しての緩和措置となり、なんと「創エネ設備に関する規定」がありません。つまり、ゼッチオリエンテッドでは太陽光発電システムなどの創エネ設備が必要ないのです。
ゼッチオリエンテッドの「省エネ設備による消費エネルギー削減率」と「創エネ設備と合算した消費エネルギー削減率」は以下の通りです。
省エネ設備による消費エネルギー削減率 :20%
創エネ設備と合算した消費エネルギー削減率:規定なし
ゼッチオリエンテッドは創エネ設備に関する規定がなく、エネルギーを造らなくてもZEHとして認められますが、適用条件が厳しくなっていますので、ゼッチオリエンテッドの認定を受けたい場合は必ず予め確認を取るようにしましょう。
- ZEH+(ゼッチプラス)
ニアリーゼッチやゼッチオリエンテッドは、ZEHの基準を地域限定で緩和したものでしたが、ZEH+(ゼッチプラス)は、ZEHの基準をより厳しくした「より上位のZEH」です。
ZEH+(ゼッチプラス)では、ZEHに比べ求められる要件がさらに厳しくなっています。具体的には以下の要件を満たす必要があります。
②HEMSの設置
③電気自動車(EV)コンセントの設置
外皮の外皮基準のさらなる強化とは、さらなる「断熱性能(UA値)」が求められるということです。ZEH+の地域ごとのUA値基準は以下の通りです。
地域区分 | 1.2地域 | 3地域 | 4地域 | 5地域 | 6.7地域 |
---|---|---|---|---|---|
ZEHの基準(UA値) | 0.4以下 | 0.5以下 | 0.6以下 | 0.6以下 | 0.6以下 |
ZEH+の基準(UA値) | 0.3以下 | 0.4以下 | 0.4以下 | 0.4以下 | 0.5以下 |
ZEHよりも求められるUA値の基準が少し厳しくなっていますね。
また、ZEHでは義務化されていなかった「HEMS(ヘムス)」という、家で使うエネルギーの管理システムの設置が要件の一つとなります。HEMSは非常に便利でわかりやすいシステムで通常のZEHでも採用するケースが多く、また数万円程度の金額で導入可能なため大きな負担にはならないと思います。
そしてZEH+では、将来的に普及するであろう電気自動車(EV)専用のコンセントを設置することも要件の一つとされています。電気自動車(EV)は蓄電池を備えているため、災害などの際には「蓄電池」としても使えます。
ZEH+(ゼッチプラス)の「省エネ設備による消費エネルギー削減率」と「創エネ設備と合算した消費エネルギー削減率」は以下の通りです。
省エネ設備による消費エネルギー削減率 :25%
創エネ設備と合算した消費エネルギー削減率:100%以上
ZEHプラスでは、省エネ設備による消費エネルギー削減率がZEHよりも「5%」厳しくなっています。
このように様々な追加条件があるZEHプラスですが、条件を満たすことにより、ZEHよりもさらに省エネ効果が高まり光熱費を抑えられるほか、国から貰える補助金の額も増えます。
※補助金に関しては、まとめて後述します。
- Nearly ZEH+(ニアリーゼッチプラス)
Nearly ZEH+(ニアリーゼッチプラス)は「ニアリーゼッチの上位バージョン」と考えればOKです。Nearly ZEH+(ニアリーゼッチプラス)では、ZEH+と同じく以下の要件を満たす必要があります。
②HEMSの設置
③電気自動車(EV)コンセントの設置
この点はZEH+と同じです。Nearly ZEH+(ニアリーゼッチプラス)の「省エネ設備による消費エネルギー削減率」と「創エネ設備と合算した消費エネルギー削減率」は以下の通りです。
省エネ設備による消費エネルギー削減率 :25%
創エネ設備と合算した消費エネルギー削減率:75%以上
省エネ設備による消費エネルギー削減率はZEH+と同じ「25%」ですが、創エネ設備と合算した消費エネルギー削減率はニアリーゼッチと同じ「75%」となります。
- ZEH+R(ゼッチプラスアール)
ZEH+R(ゼッチプラスアール)のRは「レジリエンス(Resilience)」の頭文字ですね。「レジリエンス(Resilience)」は直訳すると、回復力・復元力などの意味になりますが、要するに「防災設備」のことです。
ZEH+R(ゼッチプラスアール)は、ZEH+に防災設備の要件がプラスされたものと考えましょう。
ZEH+Rの具体的な要件は以下の通りです。
②非常用コンセントを居室に3か所以上設置する
②蓄電池か太陽熱利用温水システムのいずれか、またはこの両方を導入する
非常用コンセントや蓄電池などは災害時に大きく役立つ装備です。
災害時においても非常用コンセントがあれば、太陽光パネルさえ無事ならば昼間は電気を使えます。また、蓄電池があれば、昼間に発電したエネルギーを貯めておけるため、夜でも電気をつかって生活することが可能です。
なお、ZEH+R(ゼッチプラスアール)も「省エネ設備による消費エネルギー削減率」と「創エネ設備と合算した消費エネルギー削減率」はZEH+と変わりません。
省エネ設備による消費エネルギー削減率 :25%
創エネ設備と合算した消費エネルギー削減率:100%以上
要するにZEH+R(ゼッチプラスアール)は、ZEH+の要件を満たしたうえで防災装備の要件が追加されていると考えればOKでしょう。
ZEH+R(ゼッチプラスアール)は条件がもっとも厳しいですが、国から貰える補助金の金額も増えます。
※補助金に関しては、まとめて後述します。
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ZEHのメリット
次は、ZEH認定を受けるとにすると実際にどんなメリットがあるのかを見ていきましょう。
ZEHのメリットは以下の通りです。
②補助金が貰える
③夏涼しく冬暖かい快適な生活
④ヒートショックなどのリスクが軽減する
⑤住宅の資産価値を長く保てる
⑥災害時にも電気を使える
①光熱費が抑えられる
ZEHの最大のメリットはコレです。ZEH住宅は年間の消費エネルギー収支が「プラスマイナスゼロ」前後に抑えられる住宅です。つまり「光熱費が抑えられる」のです。
ZEH住宅は家そのものの断熱性能も優秀でなおかつ省エネ設備が導入されているため、省エネ性能も優秀。加えて創エネ設備により自家発電ができます。太陽光発電システムによる発電量は天候や地域などにも左右されるため、必ずしも年間消費エネルギーがゼロになると断言こそできませんが、一般住宅に比べて大幅に光熱費のランニングコストを抑えられることは間違いないでしょう。
それどころか、優秀な太陽光パネルを導入し、創エネ設備で創り出した電力を電力会社に買い取ってもらえば「売電収入」でプラス収益になるケースも多いです。
ZEHは光熱費がゼロになるどころか「売電による副収入」を得られる住宅となる可能性すら秘めているのです。
②補助金が貰える
ZEH基準を満たし、ZEH認定を受けると国から「ZEH補助金」を貰える点も大きなメリットと言えるでしょう。
ただしZEH補助金の額面は年々減少傾向にあります。ZEH補助金の額面は、ZEHの種類などにより異なり、やや複雑なため、まとめて後述します。
③夏涼しく冬暖かい快適な生活
ZEH住宅には断熱性能(UA値)の基準が設けられています。ZEH住宅の認定を受けられるということは、イコール断熱性能の優秀な家ということです。
当サイトでは何度も繰り返し述べていますが、住宅の断熱性能は非常に重要です。ZEH基準の断熱性をクリアした住宅ならば、夏は涼しく冬は暖かい快適な生活がおくれる住宅と言えるでしょう。
年中快適な気温で生活できる点もZEHの大きなメリットです。
④ヒートショックなどのリスクが軽減する
住宅の断熱性能が高いと、年中快適な気温で生活できることはもちろん「ヒートショック」のリスクを軽減できます。
住宅の断熱性能が高ければ、家の中の温度差を少なくできるため、ヒートショックのリスクが軽減されます。気温によるストレスを軽減させる他、危険なヒートショックのリスクを予防できる点は大きなメリットと言えるでしょう。
⑤住宅の資産価値を長く保てる
ZEH認定を受けた建物は「資産価値を長く高く保つ」という面でもメリットがあると言えるでしょう。
国は2016年にBELS(ベルス)という住宅の省エネ性能を評価する制度を施行しており、ZEH認定を受けた住宅は省エネ性能が高いため、BELSにおいて高い評価を得ることができます。このことから「ZEH住宅は一般住宅に比べて資産価値を長く高く保つことができる」と言われています。
そもそも政府は2030年までに新築住宅の平均でZEHの実現を目指しており、今後の一戸建て市場では「ZEH住宅」がメインとなる可能性も高いです。いずれにしてもマイホームの将来の資産価値を考えるのであれば、ZEHはプラス評価になる可能性が高いです。
⑥災害時にも電気を使える
ZEHは災害時にも強い住宅です。ZEHは、基本的に太陽光発電システムやエネファームなどの「創エネ設備」を備えているため、電力会社から電気の供給が止まっても自家発電である程度は電気を使えます。
ZEH+Rなど、蓄電池を備えている住宅はさらに災害に強くほぼ日常と変わらない生活ができますが、ただのZEHでも一般住宅と比べれば、昼間の太陽光があたる時間帯は電気を使うことが可能ですし、その差は歴然です。
「いざという時に電気を使える住宅」という点もZEHの大きなメリットです。
ZEHのデメリット
次は、ZEHのデメリットを見ていきましょう。
ZEHのデメリットは以下の通りです。
②家のメンテナンス費用が増える
③間取りや屋根の形が制限される
④売電価格が年々下がっている
①初期費用が増加する
ZEHは光熱費のランニングコストを大幅に抑えることができますが、その反面「初期費用」は増加してしまいます。
ZEH住宅は強化外皮基準(UA値のZEH基準)を満たさなければならず、また省エネ設備と創エネ設備を導入する必要があるため、一般住宅と比較するとどうしても初期費用が増加する傾向にあります。基準となる一般住宅の定義も曖昧なため「いくら初期費用が増加するのか?」という点はハッキリ断言できませんが、一般的には「+200~300万円程度」の初期費用がプラスされると言われています。
ただしZEH住宅は「補助金+ランニングコスト減+売電収入」によって、おおよそ10年~15年程度で初期費用の回収は可能と言われています。
後々はお得になるZEHですが、初期費用増加によって最初の住宅ローンの借入額が増えてしまう点がデメリットに感じる人は多いかもしれません。
②家のメンテナンス費用が増える
ZEH住宅は創エネ設備などを導入しているため、一般的な住宅に比べてメンテナンス費用が増える傾向にあります。
太陽光パネルなどはメンテナンスフリーの製品などもあるようですが、環境や天候、使用状況によってはメンテナンスが必要ですし、またどんな環境でも定期的な点検は必要でしょう。また省エネ設備に関しても性能を維持するためには定期的な点検・メンテナンスが必要です。
ZEH住宅は一般的な住宅に比べて、設備点検・メンテナンスの手間・費用や少し増えると考えておくべきです。この点もZEHのデメリットです。
③間取りや屋根の形が制限される
ZEH住宅では「屋根の形が制限される」可能性があります。ZEH住宅の創エネ設備は主に太陽光パネルで、太陽光パネルは屋根に設置されます。つまり、屋根はよく陽のあたる向きにするべきですし、また安全性を考慮した屋根の形状に制限がかかる可能性もあります。
またその他の省エネ設備・創エネ設備を設置する場合は、間取りも制限される可能性があります。
ケースバイケースですので確実ではありませんが、ZEH住宅にすることで設計自由度が若干下がる可能性はあり得るでしょう。この点もデメリットと言えます。
④売電価格が年々下がっている
ZEH住宅では、日中に太陽光発電システムで創った電力のうち「余剰電力」を電力会社に「売電」することが可能ですが、「売電価格は年々減少傾向」にあります。
「ZEH住宅の認定を受けた年の売電価格が10年間保証される」ため、まだZEH住宅にするメリットはありますが、今後も「売電価格」が下がっていくことが予想されます。
2020年現在ではZEH設備の初期投資は10~15年程度で回収可能と言われておりますが、今後も売電価格が下がれば、初期投資を回収するまでの年月が長くなる可能性は考えられるでしょう。
ZEHを導入するならば、必ず売電価格は予めチェックしておくようにしましょう。
ZEHの補助金
次はZEHの補助金についてみていきましょう。
前述したとおり、ZEH住宅の認定を受けることで国から「補助金」を貰えます。
ZEH補助金の額面は毎年変更され、2020年以降は当記事執筆時点ではまだ公式なアナウンスがありません。よって、当記事では2019年のZEH補助金をまとめます。
ZEHの種類 | 補助金の額 | 追加補助金 |
---|---|---|
ZEH | 70万円 | 蓄電システム設置により2万円/1kWh(補助対象経費の3分1、または20万円のいずれか低い額) |
Nearly ZEH | 70万円 | 蓄電システム設置により2万円/1kWh(補助対象経費の3分1、または20万円のいずれか低い額) |
ZEH Oriented | 70万円 | 蓄電システム設置により2万円/1kWh(補助対象経費の3分1、または20万円のいずれか低い額) |
ZEH+ | 115万円 | なし |
Nearly ZEH+ | 115万円 | なし |
ZEH+R | 125万円 | 蓄電システム設置により2万円/1kWh(補助対象経費の3分1、または30万円のいずれか低い額) 太陽熱利用温水システム導入で17万円(液体式)または60万円(空気式) |
ただしZEH補助金の額面も年々減少傾向にあります。2020年のZEH補助金はまだ発表されていませんが、おそらく大きくは変わらないと思いますが、今後も減少傾向が続くことは間違いないと思いますので、ZEH住宅を建てたいのであれば早めがオススメです。
ZEHビルダー
ZEH補助金を貰うにはZEHビルダー登録をしているハウスメーカーや工務店でZEH住宅を建てる必要があります。
ZEH登録ビルダーは「一般社団法人:環境共創イニシアチブ」のホームページより調べることが可能です。
ただし、ほとんどのハウスメーカーは「ZEHビルダー」として登録されています。地方の工務店などでは登録していないケースもありますので、工務店でZEH住宅を建てるのであれば必ず前もって「ZEHビルダーかどうか?」を調べておきましょう。
ZEH(ゼッチ)はオススメか?
2020年以降、これからマイホームを建てるのであれば「ZEH住宅にするべきか?」気になりますね。
結論から言って、初期費用に余裕があるならば「ZEH住宅はオススメ」と言えるでしょう。
現在、ZEH住宅は一般的な住宅に比べて初期費用が「+200~300万円」前後増加すると言われていますが、初期費用分は、家を建てた後のランニングコスト(光熱費)を大幅に浮かせることで、長く見積もっても「およそ10~15年あればペイできる」はずです。またZEH補助金も出るため、補助金トータルで考えればさらに初期費用を回収できる年月は早まります。
メンテナンスの手間・費用が増える点や太陽光発電量が安定しないこと、売電価格が減少傾向にあることなどZEHのデメリットを考慮しても「長い目で見ればZEHで損をする可能性は少ない」と思います。(その代わり、初期費用・メンテナンスの手間・費用などを考慮すると、おそらくZEHによって「数百万円単位で得をする」というケースも少ないと思いますが)
またZEHをオススメするのは「政府がZEH普及を推し進めている背景」も理由の一つです。政府は2030年は一戸建ての平均をZEHとする目標を掲げています。
つまり今後はZEH仕様の住宅が日本の一戸建てのスタンダードとなる可能性を秘めているということです。
今後、日本の住宅のスタンダードが「ZEH仕様」になれば、ZEH基準を満たしていない住宅は資産価値を長く保つことが難しくなるかもしれません。これから建てるマイホームをZEH仕様にしないということは、ある意味「将来的なリスク」にすら成り得るのです。
不安な面としては、ZEH導入から10年後以降の「売電価格」でしょう。ZEHは導入から10年間は同額で電力会社に売電できますが、10年後以降の売電価格はまだ誰もわかりません。10年後以降は売電価格が極端に安くなってしまう可能性もあります。これまでは「売電による副収入」を得れていても、10年後以降はその保証はありません。
ただし、そうなったとしてもランニングコスト(光熱費)を浮かせられることには変わりはありませんので、長い目で見ればトータルではお得になる可能性の方が高いでしょう。
これから注文住宅でマイホームを建てるなら「ZEH住宅」は魅力的な選択肢です。
ですが「ZEH住宅の落とし穴」には注意しておきましょう。
ひと口にZEHといっても、その差は「ピンキリ」なんです。
極端な話、ZEH住宅は「ZEHビルダー」ならどのハウスメーカー・工務店でも建てられますが「ZEHが得意か?そうでないか?」という差は明確に存在するのです。
ハウスメーカーの中には、元々ZEHの断熱基準をクリアしZEH実績が十分なところもあれば、反対にZEHビルダーでも、ZEHの実績が10%以下などほとんど実績がないハウスメーカーも存在します。
もう一度言いますが、ZEHといっても性能はピンキリです。
ZEHを得意としていないハウスメーカーでZEH住宅を建てても断熱性能が思ったほど良くなかったり、省エネ設備・創エネ設備の性能が足りず思ったよりもランニングコスト(光熱費)がかかってしまうというケースもあります。
「数百万円単位の初期費用をかけて性能の微妙なZEH住宅を建ててしまった…」
建築費を数百万上乗せして、コレではシャレになりません。
ZEH仕様の住宅を建てるなら、断熱性能・省エネ性能・創エネ性能いずれも優秀で最大限ランニングコストを抑えて、欲を言えば「最大限の売電収入を得たい」のが当然ですよね!
ならば「ZEH実績の豊富なハウスメーカー」を比較検討するべきです。
LIFULL HOME’SならZEHの実績が豊富なハウスメーカーの中から厳選して比較検討できます。
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ZEH(ゼッチ)について まとめ
ZEHについて詳しくまとめてみましたが、ザックリとご理解頂けましたでしょうか。これからマイホームを建てるならば、ZEHについて詳しく知っておくべきでしょう。
いずれにしても、ZEH住宅を検討する場合は「ZEH住宅に実績のあるハウスメーカー」を選ぶことが大切です。ZEH住宅は政府が普及を推進しているとはいえ、まだまだ地方の工務店では実績が少ないのが現状です。ZEH住宅の実績が少ないハウスメーカー・工務店では、補助金申請がスムーズにいかないケースや、性能のよくない省エネ・創エネ設備を導入されるケースもあります。
ZEH住宅にするならば、なおのこと「比較検討」が重要になります。必ず、複数のハウスメーカーで相見積もりを取ることを忘れないようにしましょう。
この記事が皆様のマイホームプランのお役に立てて頂ければ嬉しい限りです。
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